西アフリカ、東南アジア、中南米など高温・多湿な地方を原産地とし、生命維持に欠かせない13種類の必須ミネラルのうち8種を含み、PEA(フェニチルアミン)・ポリフェノール・ビタミン類など注目したい成分を豊富に持つ熱帯植物です。
そんなカカオについて、詳しく見ていきましょう。
概要
名称
英語
Theobroma cacao
日本語
加加阿・柯柯阿、カカオノキ、ココアノキ
学術名
あおぎり科 テオブロマ属 カカオ
種目、品種
カカオ豆の味は、産地・カカオの樹の種類・栽培する土地の土壌・気候などによって異なります。栽培カカオの系図は次の3種が源流といわれます。クリオロ種:カカオの原種と言われている。中央アメリカ・メキシコ・西部ベネズエラに有史以前から生息していたと考えられている。病気や害虫に弱く栽培が難しい品種だが、豆の品質は良く独特の香りを持ち、フレーバービーンズとして珍重されている。現在はメキシコ・ベネズエラなどでごく少量の生産となっている。フォラステロ種:原産地南アメリカのアマゾン渓谷・オリノコ渓谷。東南アジア、西アフリカなどでも栽培されています。成長が早く病害虫に強く、栽培が比較的容易。現在では世界の主流となっており、カカオ豆をブレンドするときのベースとして使用されるためベースビーンとも呼ばれている。
トリタニオ種:クリオロ種とフォラステロ種の交配種で、栽培が容易かつ良質。交配によって多くの品種が作られ、さまざまな風味の品種があります。クリオロ種と同じくフレーバービーンズとして用いられる。
原産地
西アフリカ、東南アジア、中南米
赤道の南北緯度20度以内、年間平均気温27℃以上の、高温・多湿な地方で栽培される熱帯植物です。カカオの樹は常緑樹ですが年間を通じて落葉し、半日陰を好みます。直射日光にさらされて、蒸発が強くならないようにする必要があり、カカオの樹の周りにはシェードトリーといわれる覆いとなる樹を植えているのが多く見られます。 生長すると、高さは7~10メートル、幹の太さは10~20センチになります。枝のみではなく幹にも実をつけます。
歴史
テオブロマは、メキシコ・アステカ族の神話に由来する「神様のたべもの」という意味を持ちます。昔は裕福な王様や貴族などだけの貴重な食糧でした。
人類初めてカカオ利用をしたのはオルメカ族と言われています。その後、長きにわたって古代メソアメリカ人の生活と共に歴史を辿ります。1300年頃、栄えたアステカ文明でも貨幣の代わりに税をカカオ豆で納める地域もあり、変わらず 重宝されていました。
当時、カカオ豆100粒と奴隷1人が交換されていたというほどの貴重品で、そのほか、神々への捧げものや万能薬としても使われていました。
2018年、専門誌「コミュニケーションズ・バイオロジー」に、カカオが初めて栽培植物となった場所はメソアメリカではなかったという新たな説が掲載されました。
そんな風に様々な用途で使われていたカカオ豆ですが、もちろん、一番多く利用されていたのは食用として、です。
最初こそ生食が主流だったと考えれていますが、偶然、焙煎した時の特別な芳香が発見され、それ以降、「チョコラトル(カカワトル=カカオの水)」という飲料としての楽しみ方が主流なり、王侯貴族、戦士、商人などの特権階級に限られた嗜好品でした。
クリストファー・コロンブスがヨーロッパ人として初めてカカオに出会い、16世紀(1500年代)に変化が訪れます。
1521年、フェルナン・コルテスという人がアステカを侵略し、1528年スペインにカカオ豆を持ち帰ります。これがカカオのヨーロッパ初到来だと言われスペイン人の手で「チョコラトル」が美味しく変化しました。スペイン人の嗜好、文化や食材、技術が融合し、次第に所謂「ホットチョコレート」へと形を変えていきます。
一番大きなポイントは、砂糖を追加し温める処理で、昨今親しまれている形に近しい美味しい飲みものになりました。
こうして、スペインからヨーロッパ各国へ約百年の間、王室の命(めい)により門外不出としてスペインで独占されていたカカオですが、17世紀(1600年代)ごろからヨーロッパ各国へと徐々に広がっていきます。
まず、スペイン宮廷に出入りしていたイタリア人商人アントニオ・カルレッティがイタリアに伝えます。その約10年後、チョコレート愛飲家だったスペイン国王の娘アンヌ・ド・オートリッシュがフランス国王ルイ13世と結婚、続くルイ14世にも、同じくスペイン国王の娘マリア・テレサがチョコレート職人を連れて嫁いだことで、フランスにもカカオ文化が流出しました。 これら、2つの婚姻によって、フランス宮廷に浸透したのがホットチョコレートです。
そしてそれを追うようにして、カカオ文化はイギリスにも上陸します。
イギリスでのカカオの広まり方は、上記スペインやフランスとは違い、共和制を背景に、初期から庶民にも手が届くものとして普及しました。1650年ごろから当時の社交場であるコーヒーハウス」「チョコレートハウス」の流行も手伝って、消費量も増加しました。
1693年にはフランスでもカカオ取引やチョコレート販売の自由化が始まります。
栄養素
生命維持に欠かせない13種類の必須ミネラルのうち、多量ミネラルとしてナトリウム(Na)・カリウム(K)・カルシウム(Ca)・マグネシウム(Mg)・リン(P)と合わせ、微量ミネラルとして鉄(Fe)・亜鉛(Zn)・銅(Cu)・マンガン(Mn)・ヨウ素(I)・セレニウム(Se)・クロム(Cr)・モリブデン(Mo)の8種を含みます。
そのほかにもPEA(フェニチルアミン)・ポリフェノール・ビタミン類など注目したい成分を豊富に含むみます。
鉄分
鉄分不足は、貧血にもつながり、疲労やモヤモヤした様な症状を引き起こします。カカオで鉄分補給したい場合は、より吸収をよくするために、ビタミンCが豊富なものと合わせて食べるとさらに効果的。これらは、気分を高めたり、より良い状態を保つ効果があり、様々なストレスから心身を守ったり、幸福感を感じやすくイライラを防いでくれます。
PEA(フェニチルアミン)
PEAとは、私たちが恋に落ちた時に体内で生成される主要な化学物質。恋愛している時のようなウキウキした気分や幸福感をもたらす。不安な気持ちになったり、気分が落ち込んだりしているとき摂取すると良い。 呼吸で吸い込む酸素の中の数パーセントは「活性酸素」に変化します。この活性酸素のほとんどは、酵素の働きを促したり、細菌から強い酸化力で身体を守ったりと、健康を保つ働きがある。しかし、ストレスや喫煙、お酒の飲み過ぎ、激しすぎる運動、紫外線など身体に大きな負担がかかると、活性酸素が過剰に発生する。活性酸素が大量発生すると、肌荒れ・がん・生活習慣病・動脈硬化など、身体に悪い影響を及ぼしたり老化の要因にもなることがあります。
ポリフェノール
重量で見ると、赤ワイン・ブルーベリー・ 緑茶やクコの実以上の抗酸化物質が含まれている。ポリフェノール以外にもカテキン・エピカテキンなどの抗酸化物質の含有量が多いのも特徴。この豊富な抗酸化物質は、活性酸素を抑える働きがあるので、体内トラブルの予防やアンチエイジングにも効果的。
マグネシウム
十分なマグネシウムを摂ることは、糖尿病のリスクを下げるだけでなく、健康な血圧、強い骨を作り、心疾患のリスクを下げ、健康な神経系の活動に繋がるとも言われています。また、日頃、スナック菓子やインスタント食品・加工食品・カフェイン飲料をよく摂取する人や、ストレスが多い人は、マグネシウムが不足しがち。マグネシウムが不足すると、筋肉のけいれん、精神的不安、高血圧の症状にもつながるとされています。このような生活、症状をお持ちの方は、マグネシウムが豊富なローカカオを試してみることがおすすめです。ローカカオは高温で加工されていないため、人間の体に必須である壊れやすいビタミン・ミネラル・抗酸化物質が生きた状態で保たれています。
加工について
通常行うカカオの加工では、高温での発酵と加工の過程において、成分(ポリフェノール・PEA・ビタミンC・酵素など他)は減少してしまいます。原料カカオのチョコレートですが、ほとんどは、大量生産されて高温で加熱処理されており、本来持つローカカオの有効成分の含有量は減少してしまっています。白砂糖や添加物も多く含まれているので、ローカカオの栄養効果はより薄まっています。ローカカオの栄養効果を最大に活かしたチョコレートを食べたい方は、高温加熱処理を施していない「ローチョコレート」が適しています。ローチョコレートを作るのが大変という方にオススメなのが、ローカカオニブをそのまま食べること。甘味はないですが、ローカカオ本来の栄養をそのまま摂取することが可能です。
ローカカオニブ
生のカカオ豆の皮をむき、砕いたもの。チョコチップの様な見た目。
ローカカオパウダー
主にカカオの繊維分。ローカカオが非加熱圧縮(コールドプレス)され、ローカカオバターから分離されて残ったパウダー。
効能
たくさんの効能を持つが、テオブロミンやその類似成分であるカフェインいう物質を多く含むため、 摂取しすぎると次の作用を引き起こすので注意が必要です。
気管支拡張作用、利尿作用、興奮作用等
効能は下記。
- 血圧を下げる
- 動脈硬化予防
- アレルギー改善
- 閉経後の健康リスク軽減
- アンチエイジング効果
- 動脈硬化予防
- 脳の活性化
- 抗菌作用
摂取方法
カカオ粉末を70%以上含む高カカオチョコレートがおすすめです。カカオポリフェノールやカカオマスに含まれる栄養素を効率よく摂取できます。ダーク(ビター、ブラック)チョコレートとも呼ばれています。
調理例
スムージーやアイス、ヨーグルト、グラノーラ、ディップ …etc…
Comingsoon
参考資料
日本チョコレート・ココア協会
http://www.chocolate-cocoa.com/statistics/index.html
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